それから、奈子はカタコトながらも頑張った。
「この辺って何があるん……の?」
セーフ?アウト?
まぁ、ギリギリセーフか?
「お茶のおかわりもらってもいい……かな?」
「この女優さん私、好きなんで……ね」
好きなんですって言いかけたな。
まぁ、これも一応途中で気づいたしセーフにしておくか。
その後もあからさまに怪しい部分があったが、俺の甘々な判定は続く。
そして、気がつくと時計の針は17時丁度を指していた。
「タイムアップ。奈子の勝ちだな」
結果はフォーアウト、ギリギリ奈子の勝利。
「巧くんの判定が厳しかったら、私が負けてたね」
奈子がそう言いながら笑う。
なんだ、気づいてたのか。
それはもう、びっくりするほど甘い判定に。
「約束通りご褒美持ってくるから目閉じて待ってて」
「えっ、今?」
「うん、今」
奈子からしたら急に始まったゲームのご褒美がもう用意されているなんて、不思議に思うだろう。
だけど、俺からしたらゲームの方があと。
勝ち負けなんて関係なく、渡したいものがあったんだ。