「てかさ、前から思ってたんだけど敬語やめにしない?」

「えっ……?」

「俺らもう付き合ってるんだし」

俺の提案に奈子は難しそうな顔をする。

「……でも、もう染み付いちゃってて」

「それは先輩呼びのときもそうじゃん?あ、奈子があんま乗り気じゃないなら強要はしないから」

「あ、嫌じゃないです!なんか意識しないと難しそうだなと思っただけで」


意識か……。確かに。

サッカー部の後輩達も俺が同級生になった当初、タメ口は無理だって言ってたもんな。

その後、なんだかんだタメ口っぽくなってたけど。



「じゃあ、今日はゲーム感覚でやってみない?」

「ゲーム?」

「そう。5回以上敬語使ったら奈子の負け。5回以内なら奈子の勝ちでご褒美があります。どう?」

「……やってみましょうか。あ、今のはカウントしないで下さいね?じゃなくて、し、しないでね?」

隣で慌てふためく奈子が可愛くて、ゲームなんて関係なくご褒美をあげたい気持ちになる。