「……何?俺のことが心配で一緒に住んでくれる気になった?」

「私がここに住んだら毎日、何時起きになると思ってるんですか?」


……心配するとこ、そこなんだ。

奈子から否定の言葉が出なかったことに、思わず口元が緩む。


そのまま目の前にいた奈子を抱きしめて、艷やかな唇に自分の唇を重ねた。



「………んっ…」


奈子から甘い吐息が漏れる。

ヤバッ……。

変なスイッチが入りそうで、慌てて唇を離した。

目の前の奈子は顔を真っ赤に染めて一言。


「お、お昼ですよ……!」


なんだそれ。


一番に言う台詞がそれかよ。

照れ隠しだとしても、もっと他にあるだろ。
なんて思いながら、目の前の柔らかな頬に触れる。

すると、奈子はゆっくりと目を閉じた。

愛おしい。それ以上の言葉があるなら教えてほしい。

今度は短めのキスを落とす。



「キスするのに朝も昼も関係ないだろ。この前がたまたま夜だっただけで」


「……そ、そうですね。あっ、そういえば私家からレシピ本持って来たんですよ!」


俺から離れた奈子はパタパタと足音を立て、テーブルの方へと向かう。


……逃げたな。