「じゃあ頼んでもいい?」

「はい。あっ、ついでにベッド見ていきますか?」


「えっと……いや」

ベッドの話を始めた途端、急に歯切れが悪くなる巧くん。

なんだか様子がおかしい。

それに、さっきから部屋に足を踏み入れようとしないし……。

私はベッドの上、巧くんは部屋の前ギリギリに立ったまま会話を続けている。


「……もしかして、部屋に入らないようにしてるんですか?」


「……まぁ」


「今までは普通に入ってましたよね?」


前はよく私の部屋で課題をしていたし、少し前なんて私の許可なく足を踏み入れ話を始めた。

それなのに、急になぜ?



「だって前とは違うじゃん」

「違う?」

そう言われて、ぐるりと部屋を見渡してみる。

私の部屋は何も変わってないはずだけど。


「いいの?入って」

「もちろん?」

私がそう返事をすると巧くんは一歩ずつ歩みを進め、ベッドの前で立ち止まった。

「あ、私邪魔ですよね」

巧くんがベッドを見に来たんだと思い、立ち上がろうとすると肩を勢いよくポンと押された。

「え?」

体勢を崩した私はそのまま後ろに倒れ込む。

ベッドはギシッと音を立て、私の身体を受け止めた。