「よ、良かったんですか?パスタで」
「美味そうじゃん」
「今度は巧くんが食べたいもの食べましょうね?」
「俺は奈子が作ってくれる料理が一番好きだけど」
「な、なんですかそれ」
いくらエレベーターの中にいるのが巧くんと私だけだからといって、これはバカップル全開なのでは?
そんなことを思ったが鏡に映る私達2人には笑顔が溢れていて、それならいいかなんて思えた。
飲食店はお昼時ということもあり、どこも満員。
私達もお店の前に並び、数十分後ようやく昼食にありつけた。
そして、巧くんが行きたかった場所へと移動する。
そこは映画館の入っていた建物から徒歩で行けるところにあるらしく、私は言われるがままについて行った。
「あった、ここ」
巧くんが足を止めたのは、ブランドに疎い私でも名前を聞いたことがある有名ブランド店。
店内にはレディース、メンズそれぞれの指輪やブレスレット、ネックレス等が並んでいる。
外から見ているだけでも眩しいお店になんの躊躇いもなく入っていく巧くん。
私も続いて恐る恐る足を踏み入れた。
「何か欲しいものあるんですか?」
辺りをキョロキョロと見回す巧くんのあとをついて回る私。
こういうお店って入ったことないんだよね。