そして、巧くんと約束をした3月14日がやってきた。
待ち合わせは駅近くの広場。
服、変じゃないかな?
髪、乱れてないかな?と手持ちの鏡で何度もチェックをする。
真帆に選んでもらった口紅も……うん、いい感じ!
今日はホワイトデーというだけあって、街中にはカップルが多い。
今、目の前を通り過ぎたのは中学生位の子達だろうか?
手を繋ぎながらとても楽しそうに歩いていた。
私も早く巧くんに会いたいな。
そう思っていると「ごめん。遅くなって」という声が後ろの方から聞こえた。
振り向くと巧くんはハァハァと息を切らし、その肩は上下に揺れている。
「だ、大丈夫です。まだ待ち合わせの10分前なんで。それよりも走ってきたんですか?」
「奈子が見えたから、つい」
「脚は……、」
巧くんは体育の授業にも参加していたし、激しい運動を継続的にしなければ脚への負担もないと言っていた。
でも、やっぱり気になってしまう。
「これくらい大丈夫だって。ほんと心配性だな。むしろもっと運動しないとやばい体力落ちてる。それより、奈子は何分前に着いたの?」