木々の枝がむき出しになり、寒さが際立つ高校2年生の1月。

なんとなく学校生活を過ごしていた私は、先生に恋をした。理由は単純だ。優しくされたから。先生が優しくするのは私だからじゃなくて、仕事だから優しくした、っていうのもちゃんと分かってる。でも、好きにならずにはいられなかった。





思い返せば、もともと入学したときから先生がいわゆる、「推し」だった。私たちの入学と共に他の高校から異動してきた28歳の筋肉質のイケメン先生。周りが放っておくわけなく、先生にはすぐにファンがついた。クラスの可愛い子が、先生を好きって言って初めて先生の存在を知った。



「涼くんカッコいい〜!」
「涼くんいたぁー!!」



これがそのクラスの可愛い子、愛理の口癖だった。愛理が先生にリア恋だったから、私も推してるなんて口が裂けても言えなかった。




2年生になり愛理とはクラスは離れたが新しいクラスには詩帆という先生が好きという子がいた。
詩帆も私と同じ推し感覚だから、すぐに仲良くなった。部活もパートは違うが同じオーケストラ部だったし、こっそり撮った先生の写真をよく共有していた。