「皆さん、お疲れ様でした。」
結果、勝利したのは白軍だった。
まぁ体育好きが集まっていたし、予想は出来ていたが、やっぱり嬉しい。
勝つ、というのは誰にとっても興奮してしまうものだ。
あの夏希も「やった!やりましたね先輩!」と騒いでいた。
その姿もまた可愛かった。
「各々片付けをして、素早く解散をお願いします」
最後のアナウンスが聞こえてから、イスを片付け始める。
「あ、手伝いますよ」
袋にどうしてもイスが入らなかったのに気付いて、夏希が持ってくれた。
「ありがと!今日楽しかったねー」
「はい!まぁ、色々争いもありましたけど…一件落着ですね!」
「あははっ!なぎ大丈夫かなー?ずっと心配なんだよね」
とりあえず明るいフリはしていたが、一分に一回は必ず渚を見ていた。
「またなんかあったら、呼んでください」
胸を張った夏希に「頼りがいあるぅ!」と背中を叩く。
我に戻ったのか夏希も頭をかきながら笑っている。
今までで一番の体育祭だった。
「ふぅ、片付けおーしまい!」
片付けが終われば、夏希も姿勢を改めた。
「では、ちょっと移動してもらっても?」
「うんっ、いいよー」
緊張しながらも夏希に着いていくと、誰もいない体育館裏に行こうとしていた。
体育館裏に入る前にふと右を見ると、木の木陰で渚が泣いていた。
駆け寄りたかったけれど、夏希はもう曲がって行ってしまった。
話が終わったらすぐに行こうと決めて、足早に夏希に追いつく。
曲がると、夏希はこちらを向いて立ち止まっていた。
さっきよりも真剣な表情だった。
「凛先輩」
「はっ、はい…っ」
「これ…見て欲しいんです」
渡されたのは一枚の紙だった。
「これって…」
借り物競争の時に夏希がとった紙だ。
もう内容は発表されたのに、どうして見せるのだろう。
そーっと紙を開くと、放送委員が言ったこととは別の文字が記されていた。
『死ぬまで一緒に居たい人』
「え…さ、さっきと違うよね?」
「はい。さっきは放送委員に頼んで別の言葉にしてもらいました。この時間までバレたくなかったし、全校生徒の前で発表されたくなかったので。」
「え…でもこれ……なんで、凛なの?古矢くんとか、いるでしょ?」
「先輩が良かったんです」
告げられた言葉に唖然とする。
「俺は、凛先輩と死ぬまで一緒にいたい。死ぬまで隣にいて欲しいんです。」
「それって……」
「……凛先輩の事、大好きです。」