「ああ、分かってるのよ? 日宮くんは霊力の高い女の子を探しているのは有名だもの。あなたのことはきっと勘違いか気まぐれよ。そうでしょう?」

 優しい笑顔を浮かべているけれど乗せられた感情は嘲り。

 そういう感情が、“流れ込んで”くる。


 何も答えられずにいても彼女達の話は続いて行く。

「山里くんにもそうとう気に入られているわよね? 毎日お菓子もらっちゃってさ」

 別の子がそう口を開く。

 そこから流れ込んでくるのも嫉妬の感情。


「まあ? 餌付けしてるようにしか見えないけれどね」

 クスクスと数人が笑う。

 さっきよりも多い嘲りに思わず胸の辺りをギュッと掴んだ。


 流れ込んでくる。

 でも、まだこれくらいなら大丈夫。


 お願い、この辺りで終わって……!


 そんなわたしの思いなど知らない彼女達はさらに続けた。

「滝柳くんとなんて、お姫様抱っこで一緒に空まで飛んで……ちょっとずうずうしいんじゃないかしら?」

「そうよね、滝柳くんは人前で翼を見せることだってあまりしないのに……あなた、調子に乗らないでよね?」


 今度はあからさまな嫉妬。

 その途端、わたしの意志とは関係なしに彼女たちの胸の前に《感情の球》が現れる。