でも、風雅先輩の体温を感じてわたしの方がドキドキしてしまう。

 自分の鼓動が早すぎて、風雅先輩も少しはドキドキしてくれているのかどうかはわからなかった。


 そうして家まで送ってもらうのもいつものことになっていて……。

 そんな一日のやり取りを見続けて、周囲の人が何とも思わないわけがなかったんだ……。

***

「瀬里さん、先生がちょっと来て欲しいって言ってたよ?」

 昼休み、いつものように山里先輩からお菓子を貰った後クラスの女子からそう声を掛けられた。


「え? 今からお弁当なんだけど……食べてからでも大丈夫かな?」

「急ぎみたいだったからすぐに行った方がいいよ」

 そう言って急かす彼女に追い立てられる。


 仕方ないので、仁菜ちゃんには先に食べててと言い残して職員室に向かおうとした。

「そっちじゃなくて、こっち」

 二階にある職員室に向かおうと階段へ行こうとすると、何故かついて来ていた彼女に腕を掴まれる。


 瞬間、ザワリと嫌な予感がした。


「……先生が呼んでるんじゃないの?」

「呼んでるよ?……先生じゃないけどね」

 そうしてうっすら笑みを浮かべる彼女に、嫌な予感は的中したと思った。