「……こ、琥珀怖くないよ……?怒んないよ……?」
「お前のこと慕ってくれてる下の連中は、なんでお前みたいなヒョロっちい女ひとりに丁寧に接してくれてんだと思う?」
「………………」
「咲の一声、それがあったからだ。ここでは咲が絶対だし、それがわかんない奴でも咲の後ろに俺みたいなヤンキーついてんだ、普通怖いだろ」
「…………」
「守られてる代わりに恐怖の対象になった。そっから離れようとすりゃ下の連中が引き止めに来るだろうなぁ」
「…………どうするんですか私」
「高校卒業するまでは現状維持が無難だろ」
なんてこったい。
琥珀、いつの間にか逃げ道を塞がれていた……らしい。
とはいっても逃げたくなるような要素もないのだけれど。
「まさかみっちょんだけではなく琥珀まで怖がられているだなんて」
「ミツハのは俺が付いてんのが怖いんだろうなぁ」
「いおくんどんだけ怖がられてんですか」
「俺は優しい時は優しい、ヤる時はヤる」
……深くは突っ込まないでおこう、琥珀の心の衛生のために。
怖い話を聞いてしまった気がするのに、それほど自分のことのように感じられないのはなぜなのか。
咲くんマジックか。