看護実習と修学旅行が終わった頃、椿季(つばき)の家庭は崩壊しかけていた…。

父親に好きな人が出来たのだ。
その人は、母親の幼なじみで、父親と同じ職場だった。

だけど母親は、幼なじみとは言え、その人の事をよく思ってなかった。
むしろ、自身は結婚しているのに、次から次と男を変えて遊んでいる彼女を嫌っていた。

毎日、父親の口から出る離婚と言う言葉に、椿季はいつしか睡眠薬がないと眠れなくなっていた…。

だけど、

『椿季、聞いて!
今日さ~、面白い事があったんだよ~!』

受話器越しの南都の笑い声に、救われていた…。

南都は椿季から、両親の話は聞いていたが、椿季を気遣い、楽しい話ばかりしていた。