南都(なつ)の卒業式が間近に控えた日、

「一緒に帰ろう!」

椿季(つばき)が南都の教室にいて、南都の卒業アルバムを見ていると、南都に声を掛けられた。

「…うんっ!」

思わず、笑顔になる椿季(つばき)。

「きゃ~、プロポーズみたい」

朱寧(あかね)まで嬉しそうだ。

「何、言ってんの(笑)」

朱寧を好きな翔太(しょうた)は苦笑いを浮かべている。

椿季が通っていた高校は、スクールバスがあったが、南都たちは自転車で通っていた。

「あれ、おかしいな~?」

自転車置き場で、南都は首を傾げる。

「なに、どうしたの?」

「朝、この辺に自転車、置いたんだけど…。
あ!あった」

何故か自転車は、南都たちから少し離れた場所に置いてあった。