ウェディングドレスに身を包み、ベールで顔を隠したベリクリーデは。
それはもう、見た目だけならバッチリ、白雪姫もかくやという美しさだが。
しかし、忘れてはならない。
ベリクリーデは、ベリクリーデである。
あいつにあんな裾の長い服を着せたら、三歩と歩かずすっ転ぶ。
賭けても良い。
一歩目はかろうじて進み、二歩目で躓き、三歩目で転ぶ。間違いない。
とてもではないが、祭壇にやって来るどころではない。
よって。
ベリクリーデの両脇に、シルナ・エインリーとシュニィが控えて、全力で支えながら歩かせることになった。
ついでに、歩く速度も、通常よりずっと遅くした。
それから、普通なら、花嫁はヒールのある靴を履くのだろうが。
今日のベリクリーデは、ぺったんこの靴を履いている。
どうせ、ドレスのひらひらで足元は見えないから、大丈夫大丈夫。
超のろのろ入場で、場が白けること必至だが。
それでも、転ぶよりはマシだ。
転んだら全てが台無しだからな。ちゃんと歩いてくれよ。
下を向いてても良いから。くれぐれも気をつけて歩いてくれ。
俺は、子供の発表会を見守る親のような気持ちで、ヴァージンロードを歩くベリクリーデを見つめていた。
ロマンの欠片もない。
だが、超低速歩行と、左右で懸命に支えているシルナとシュニィのお陰で。
何とかベリクリーデは、転ばずに祭壇付近まで辿り着いた。
よし、良い感じ。もうちょっと。
何だかオレンジ小人の顔が、段々白けてきてるのが気になるが。
仕方ないだろ。これでも苦労してんだよ。
「よし、ベリクリーデ、よくき、」
ここまで来れば一安心とばかりに、手を伸ばしてベリクリーデを迎えようとした、
そのとき。
ゴールに辿り着いて、気が抜けたのか。
恐れていたことが起きた。
「あ」
「ばっ…!」
ドレスの裾を踏んづけたベリクリーデが、前倒しにつんのめる。
スローモーションのように倒れかけるベリクリーデを、慌てて左右から、シルナとシュニィが支えようとした。
が、もう遅い。
このままでは倒れると判断した俺は咄嗟に手を伸ばし。
倒れるベリクリーデの腰に片手を回し、もう片方の手を膝の下に滑り込ませて、ぐいっと持ち上げた。
所謂、お姫様抱っこ状態。
ここに来て、咄嗟のファインプレー。
さも、そういう予定でしたみたいな涼しい顔で、ひょいっとベリクリーデを抱き上げて、祭壇の上に立たせる。
余裕ぶった顔をしているが、内心心臓はバクバクである。
ベリクリーデも、きょとんとしていた。
バレたか?アドリブだって、バレてないよな?
チラリと、オレンジ小人に目をやると。
なんてロマンチック、とばかりに目をキラキラさせていた。
あいつがチョロい奴で助かったよ。
とりあえず、九死に一生を得た。
それはもう、見た目だけならバッチリ、白雪姫もかくやという美しさだが。
しかし、忘れてはならない。
ベリクリーデは、ベリクリーデである。
あいつにあんな裾の長い服を着せたら、三歩と歩かずすっ転ぶ。
賭けても良い。
一歩目はかろうじて進み、二歩目で躓き、三歩目で転ぶ。間違いない。
とてもではないが、祭壇にやって来るどころではない。
よって。
ベリクリーデの両脇に、シルナ・エインリーとシュニィが控えて、全力で支えながら歩かせることになった。
ついでに、歩く速度も、通常よりずっと遅くした。
それから、普通なら、花嫁はヒールのある靴を履くのだろうが。
今日のベリクリーデは、ぺったんこの靴を履いている。
どうせ、ドレスのひらひらで足元は見えないから、大丈夫大丈夫。
超のろのろ入場で、場が白けること必至だが。
それでも、転ぶよりはマシだ。
転んだら全てが台無しだからな。ちゃんと歩いてくれよ。
下を向いてても良いから。くれぐれも気をつけて歩いてくれ。
俺は、子供の発表会を見守る親のような気持ちで、ヴァージンロードを歩くベリクリーデを見つめていた。
ロマンの欠片もない。
だが、超低速歩行と、左右で懸命に支えているシルナとシュニィのお陰で。
何とかベリクリーデは、転ばずに祭壇付近まで辿り着いた。
よし、良い感じ。もうちょっと。
何だかオレンジ小人の顔が、段々白けてきてるのが気になるが。
仕方ないだろ。これでも苦労してんだよ。
「よし、ベリクリーデ、よくき、」
ここまで来れば一安心とばかりに、手を伸ばしてベリクリーデを迎えようとした、
そのとき。
ゴールに辿り着いて、気が抜けたのか。
恐れていたことが起きた。
「あ」
「ばっ…!」
ドレスの裾を踏んづけたベリクリーデが、前倒しにつんのめる。
スローモーションのように倒れかけるベリクリーデを、慌てて左右から、シルナとシュニィが支えようとした。
が、もう遅い。
このままでは倒れると判断した俺は咄嗟に手を伸ばし。
倒れるベリクリーデの腰に片手を回し、もう片方の手を膝の下に滑り込ませて、ぐいっと持ち上げた。
所謂、お姫様抱っこ状態。
ここに来て、咄嗟のファインプレー。
さも、そういう予定でしたみたいな涼しい顔で、ひょいっとベリクリーデを抱き上げて、祭壇の上に立たせる。
余裕ぶった顔をしているが、内心心臓はバクバクである。
ベリクリーデも、きょとんとしていた。
バレたか?アドリブだって、バレてないよな?
チラリと、オレンジ小人に目をやると。
なんてロマンチック、とばかりに目をキラキラさせていた。
あいつがチョロい奴で助かったよ。
とりあえず、九死に一生を得た。


