「置いてくなよなぁー」と、私を追いかけてきた彼は、

ランドセルも急いで手にしたのか、片方の腕にしか通されていなかった。

日澤 優介(ひさわ ゆうすけ)は私の幼馴染だった。

2年生の時に同じクラスになり仲良くなったのをきっかけに、

この頃の私たちは、どんな時も、

確かに常に一緒にいた。

それにしても、もう12月に入ったというのに、

どうして彼はこうも薄着なのだろう。

そう思いながら、私はあっ、と手を勢いよく合わせた。

「ごめん、優介!今日は一緒に帰れないんだ」