爽太さんの部屋を後にし、私たちは少しだけ、川沿いを散歩することにした。

先程の空は、あっという間に夜空に飲み込まれていったが、

藍色の中にちらほらと光る星たちが、不思議と寂しい気持ちにはさせなかった。

ゆっくり歩きながら、今までの思い出の話をした。

小学生の頃の話。

私に恋をしてくれた優介。

彼のために涙を流したあの日が、全ての始まりだった。

優介との、2度目の出会いがあり、

新たに作った思い出。

そしてもちろん、東希の話もたくさんした。

たくさんの人を傷つけ、傷ついて

どこまでも遠回りをして

ようやく今、この瞬間を歩み出している。

きっと、今日のこんな日は、まだまだ序章に過ぎないのだろう。

「私ね、やっと夢が見つかった」

「何?」

「花屋を開きたい。」

「花屋?」

「優介が連れてってくれた向日葵畑みたいに、私も自分の花畑を作りたい」

私たちは、1度失った記憶を、この夏、新たに作り、取り戻した。

「絶対に、叶えよう。2人で」