彩絵と別れ、私はそのまま彼との待ち合わせ場所に向かう。

いつものように、私より先に彼が待っている。

夏はもうとっくに過ぎ去っていいはずなのに、

9月半ばに入った今でもなお、昼間の蝉の声は鳴り止んでいない。

相変わらず蒸し暑くはあるものの、今日はもう16時過ぎたのもあってか、

気温は多少下がり、いつものあの忌々しい蝉の声はヒグラシの声へと替わっている。

ここからどこへ向かうのかと尋ねようとした時、

優介は行くか、と道とは反対側、つまりマンションの入口に入っていった。