「瑠夏、本当にごめん」

帰りの電車を待つホームで、僕は口を開いた。

「えっ、何が?」

繋いだ彼女の手を、強く握った。

「……東希のこと」

彼女は口を紡ぎ、僕の手を強く握り返した。

「ううん、私もごめんね。

私、確かにショックだったけど、でも、分かってた。

あんなの、誰も悪くない。…東希、白血病だったんだね。」

「…うん」

「優介と話さなくなって…

その時間が、怖かったの、本当に。

ただ、もうこれ以上、優介と離れたくないって想った。

優介、ずっと、一緒にいてね」


「行かない、どこにも。絶対。」

彼女が今、僕の隣にいる。

沢山遠回りして、1度は忘れてしまっても

また何度でも思い出す。


彼女への恋心だけは、ずっと忘れずにいる。


昔から、ずっと。