「…えっ」


「瑠夏、大好きだよ」


ただ1人の、ずっと好きだった人。


記憶を失う前も、失ったあとも。

たった1人、君だけが、初恋の人だ。


僕の目から零れた涙はまだ乾いていなくて、

目尻には大粒が溜まっている。


瑠夏は、ぶわっ、と顔を真っ赤にして泣いた。


「私も…っ!

私も、大好きっ!!」


強く、強く彼女を抱きしめる。


周りから視線が僕らに集まっているのが痛いほどわかる。

そんなこと、今の僕らにとってはどうでもよかった。


周りの人達は、向日葵のように僕らだけを見つめる。


僕は、向日葵のように彼女だけを見つめる。


こんなにも美しくて、愛おしい。


空は、すっかり橙色に染まっていた。



「瑠夏、俺の、恋人になってくれませんか?」



彼女は何度も、何度も、頷いた。