「最後に1度でいいから、お前に会いたかった

瑠夏には…瑠夏の夢で俺と会ってくれていたらいい。

ただ俺は、どうしてもお前に伝えたかった。

許されることじゃないのはわかってる。

それでも、お前の目線を利用して、あいつに恋して…

お前の記憶からあいつを奪って
勝手に死んで、ごめん」


夢の中でも目頭がじんと熱くなるのがわかった。

東希の声が、どんどん遠くなっていく。

「あいつに恋して、すごく楽しかった。

同じ空を見て、似てるねって笑いあって、

お前がいなかったら、あの空も、あんなに綺麗だって思えなかった」


(なんで…)


「14年しか生きれなかったけど、瑠夏に出会えて、お前と親友になれて…

ほんとに、幸せだった」


あぁ、どこまでも敵わない。

「そういうところ、まじで、大っ嫌いなんだよ、昔から。」

夢の中。

僕は情けないくらいに、彼の前でぼろぼろ泣いた。


結局1度も、彼よりかっこいい部分を見せることは出来なかった。


一生の憧れで、親友だった。

「ごめん、ごめん東希」


太陽の逆光で、幼い東希が最後、

どんな表情をしているのか分からなかった。


僕の目から溢れる涙が次々と、海の中へ楕円を描いて落ちていった。

時折、僕のじゃない水滴が、海へ落ちる音がした。


「ありがとう」


2人の声が同時に重なった。