「あっ。」


店じまいをしているところに、

めちゃくちゃ見たくなかった顔が現れ、思わず声を漏らしてしまう。

彼は僕の方へ振り向いた。

(やっべ。)

その後、暫くじっと見て「あっ。伊勢…さん?」と放った。

(あ…名前覚えててくれたんだ)

「あぁ、どうも」
「…意外ですね。花屋でバイトしてたんですか。」

うるせぇよ。

てか今お前の顔みたくねーんだよこっちは。

「今日は知ってる顔のお客が多いな」

「え?」

「なんでもねぇよ、こっちの話。てかここバイトじゃなくて俺ん家だから。彼女と喧嘩でもしたのか?」

「彼女?」

「あ?とぼけんな瑠夏のことだよ」

「あっ。すみません、俺、瑠夏と付き合ってないです」

「はぁ!!?!?」

飛びつく勢いで、彼に向かって大声を浴びせる。

彼の腕で、彼女とお揃いのブレスレットが光っていた。