高3の夏休み直前、いつものように彼女をデートに誘い玉砕。

笑顔をぱっと咲かせ、走っていった彼女へ目を向けると、

校門の前に1人の男が立っていた。

まさか、と思った。心臓がドクッ、と音を鳴らした。

こんなにも彼女の眩しい笑顔は、今まで見たことがなかった。


だけど、僕がいつも彼女へ送る視線とはどこか違う…気がした。

恋をしている、というようには見えなかった。

「お宅は瑠夏の彼氏さんですか??」

彼女のたまに言う好きな人が彼であるのか僕は確かめるべく、二人の間に割って入る。

「ちょっと伊勢、優介に絡まないでよ」
「絡んでるんじゃないよ確認だよ。」

「だったら何?」

異常なまでに、冷たい声色で、

僕の聞きたくなかった言葉を放たれる。

こんな男に負けてたまるかよ。

だけど彼女の腕をしっかりと掴んだ彼の表情は、

声とは裏腹に優しくも見えた。


心臓がずっと、バクバクと音を鳴らしていた。

変な感じだ。

あ、わかった。
これがよく聞く嫉妬ってやつなのか!人生で初めて経験した!

瑠夏ってすげぇ!!

けど、俺の方がずっといいと思うんだけど。

そんなことない?