彼より背の高い彼女は、彼を上から眺めた。

変な形のアイスを持ったまま。

何、と問えば、彼女は「一口ちょうだい」と言い、返事をする前に勝手に大きくかじる。

彼も仕返しに、彼女のアイスをでっかくかじってやった。

「あ!!青いとこ!」

そこで彼は、青の部分と、彼のそのアイスの味が似ていることに気づいたのだった。

夏の何もかもが心地よかった。

遠い遠い空も、鳴り響くセミの合唱も、ふたりで食べてる同じ味のアイスも。

だから、夏が好きなんだ。