彼女は、私を一切裏切ることは無かった。

あの時初めて、話しかけてくれた私を、

あの時見て見ぬふりをしてしまった私を、

誤魔化して、「クラスが離れてしまったから仕方がない」と、

必死で自分をいい聞かせ気付かないふりをしていた私を、

何も。何も無かったことにしてくれたのだ。

1度は見捨ててしまった私を。

「辛い思いをしないでほしい。」と、

今も尚、支えたかったはずの私を、彼女の方が支えてくれている。

そういう所が、好きだった。

ただひたすらにかっこよくて、羨ましかった。


…それに比べて私は、また「黒羽はみんな好きだから」と言い訳を紡ぎ、

また、大切な人から逃げようとしているんだ。

いい加減…いい加減に、しろ。

私は、自分のエゴで、以前の私から離脱する。