「うめーだろ」

綺麗なラテアートは、私が飲んだことによっていとも簡単に消えてしまっていた。

「それ、俺が淹れた」

本当、ムカつくくらいに多才な奴だ。

顔が良くて勉強が出来て、海外にまで進出する上に、こんなおしゃれな特技まであるなんて。

「…私もラテアートやってみようかな」

「ばか言え、微塵も興味無いくせに。」

私はまた、崩れたラテアートのカフェラテを飲んだ。

寒かった訳じゃないが、その温かさで体がほっとする。

「灯篭、どうだった?」

えっ、と私は下から黒羽を見る。

黒羽に、この話はまだしていなかった。

「なんで知ってるの?」

「あいつずっと話してたからな、瑠夏にどうしても見せたいって。」

黒羽が見せて、と頼むので、私は上の空のまま黒羽に自分のスマートフォンを渡す。

「おーすげー」などと発しながら写真をスワイプしていた。

「これ、いい写真だなあ」

そう言って、女子高生が撮ってくれた写真を私に見せる。

黒羽はお客さんに呼ばれ、「じゃなっ」と去っていった。