「おれっ…おれは、あいつのいちばん大事な物を奪った…っ、

あいつに、あいつにトラウマを植え付けた、」

「えっ、ちょっと、なんの話ししてんの?」

「取り返しのつかないことをしたんだ…っ、
謝っても、謝りきれない、あいつにはずっと、笑ってて欲しいのに、

ただ俺の事を待っていてくれればそれで良かった…っなのに……。

東希は、おれが殺したんだ。」

「…………えっ?」

「海でっ……波に飲まれそうになった俺を助けて…おれは助かったのに、あいつはそのまま帰ってこなかった、

東希だって、最後に瑠夏に会いたかったはずなのに」

彩絵は、黙って僕を見つめていた。

「おれが、誰よりもあいつを傷つけた」

僕の目から流れる大粒の涙は、零れても零れても、止まることはなかった。

「彩絵っ…、おれっ、どうしたら……」

「バカじゃないの?」