先程まであんなに晴れていたのに、いつもの駅に戻ってくる頃には、空は曇天に塗れていた。

駅を出ると、曇天どころか、ぽつぽつと雨が降り出している。

空気が重く、湿気で溢れた真夏の雨天ほど嫌なものは無い。

雨が僕の体をはらはらと伝っていく。

あの後僕は、ただ心ここにあらずのまま海を眺め、そのまま何も無い2時間という時間を経たせてしまったあと、

やっとの思いで、僕の最寄りではなく、地元に帰ってきたのだ。

ふと顔を上げると、そこには廃墟となってしまったおばちゃんの駄菓子屋があった。

何も考えず、いつのまにかここへ辿り着いてしまったのか。

楽しくて、幸せで仕方なかった。

瑠夏の隣にいられたら、何も要らなかった。

あの時も、今も、ずっと_____。

足の力が抜け、僕はその場に座り込んでしまう。

悔しくて、涙が止まらなかった。

声を上げて、僕の涙が雨の中に混じえていく。

僕を打ち付ける雨が、突然止まったことに気づく。

目の前に、誰かの影があった。