呼吸が、乱れる。

上手く、息ができない。

夕日が沈もうとする海が、やけに美しく映えていて、僕らを影へと追い込んだ。

「優介…?」

瑠夏はとても不思議そうな顔をしていた。

無理もない。

砂がかかったままのスマホを気にも留めることはなかった。


「思い出した」

「え?」

腕を掴んだまま、僕は口を開いた。

彼女は驚いた表情で、今にも消えてしまいそうな声を上げた。

僕は今、彼女に残酷で醜悪(しゅうあく)である真実を伝えた。

「なに、言ってるの、?」

何度、どれだけ誠意を払って謝ろうとも、

彼も彼女も、許してくれるはずがない。

許していいわけが無い事実だった。

だけど他に、何も言えなかった。

彼にはもう、謝ることすら出来なかった。

「やっ、やめてよ…。そんな冗談、笑えないよ。」


彼女の目には、涙が溜まっていた。

大粒な涙が、今にも零れ落ちそうな。


「東希は、お前と両想いだったよ」