そう、だ。

彼が死んだのは、彼を殺したのは

僕だ。


鬱陶しいぐらいに、振り払いたくなるような記憶が、


走馬灯のように次々と流れてくる。


あの時、海に攫われた僕を追いかけ、あいつはカナズチのくせに

迷いなく僕のいる海へ飛び込んできた。

本当に、そういうところが嫌いだった。

羨ましいくらいにかっこよくて、妬ましかった。

なんで僕だけ助かったのかは分からない。

あの時彼が、自らを犠牲にして僕を助けたのか。


それとも僕が、彼を押しのけて、

自分の命だけを、 助け、 た。



頭の中で、何度も、何度も、


あのフレーズが渦を巻く。


ー僕は彼を殺した。ー

ー僕は彼を殺した。ー
ー僕は彼を殺した。ー
ー僕は彼を殺した。ー



君の好きだった人を、初恋の人を殺したのは、


紛れもない、汚い感情だらけの僕だ。