「かっこ…悪いわけ、ねえだろ…っ」

優介が勢いよく立ち上がる。

そして優介はそのまま、海の方へ走っていった。

「えっ、優介!?」

優介は、人目も気にせず靴のまま空を反射させた夕日色の海に入り、

手を大きく上の空に向かって広げた。

彼の膝ぐらいまで、きらきらした波が打っている。

僕はまだ、大きな粒の涙と鼻水をぼろぼろ零しながら、そんな彼を呆然と見つめていた。

遠くで、子供たちの笑い声が聞こえた。

頭上で、カモメがぴーぴーと泣いている。

とても、心地いい音だった。