「俺はもう生きていられないから、あいつのこと、頼んだぞ、優介」

「…かっこつけんなよ。」

優介は納得していない様子だ。

「いいじゃん、かっこつけたい。最期ぐらい。」

そうだ、ライバルの前でくらい、敵わないって思われたい。

あの時…今からでも、俺も好きだよと言えたらどんなに楽で、どんなに幸せだっただろう。

「だから、優介が、瑠夏のこと頼んだぞ」

優介なら、大丈夫だ。優介となら、瑠夏は…。


涙が、止まらない。


もっと堂々と胸を張って、

優介にかっこいいって思わせられたら良かったのに。

現実はドラマみたいには行かないもんか。


弱虫で、彼女を失うことが、記憶も形も失ってしまうことが、


死ぬのが怖い僕は、本当に、

こんなにも、格好悪い。

「死ぬのが、怖い…!

死にたくないっ……。


本当だったら、俺が、瑠夏の傍にいたかった。

ずっと、恋に落ちていたかった。

優介じゃなくて、俺が幸せにしてやりたかったんだ。

こんなに性格悪くて本当にごめん。

格好悪くてごめん。


俺だけを、好きでいてほしいよっ……」


ぼろぼろと、僕の目から涙が

これでもか、と、いうくらいに流れる。

顔がぐしゃぐしゃになるくらい、泣いた。