中学2年の、夏頃だった。

白血病だと診断された。

医師から、ステージが進んでいて、進行を遅らせることは出来ても止めることは出来ないこと。

どんなにギリギリまで生きれたとしても、あと1年半の余命であることを告げられた。

その頃は、まさか自分の身に、こんなドラマみたいなことが起きるなんて、とか

そんな呑気なことを考えていた。

病院から出ると、ジリジリと夏の暑苦しい太陽が僕を焦がす。

隣に立つ母は、優しくも苦しい笑顔で、「帰ろっか」と告げた。

誰が見ても人目で、涙を堪えていると分かるくらい、痛々しい笑顔だった。

1番に浮かんだのは、彼女の顔だった。

僕は小学校の頃から、彼女に片想いしていた。

だけど、そんな彼女には、好きなやつがいたんだ。

いつも傍にいて、誰に聞いても彼女と言ったら、彼だと言う、そんなやつ。

きっと両想いで、僕の出る幕なんてない。

そんな中で、中学に上がるタイミングで、あいつがアメリカへ引っ越すことを聞いた。

最低にも、安堵したんだ。

もしかしたら、って。

彼から、彼女を奪えるかもしれないって。

こんなずるいタイミングでしか、僕には立ち向かう勇気なんて湧かなかった。

そんな中で、僕の余命は定められた。

きっと、バチが当たった。

真っ直ぐに戦うことから放棄して、

ずるい戦略で優介から、瑠夏を奪おうとして。


そう思っていたけど、突然の事だった。