「彩絵、よく来るの?」

「ううん…まぁ、そんなに多くは来れてないけど。
やっぱ、幼なじみだからね。」

確かに、彩絵と東希が幼なじみだという話は、彼女から聞いたことがある。

「瑠夏こそ…よく来るの?」

「3ヶ月に1回とかかな。私も全然来れてない」

「そっかー…。」

私たちは手を合わせ、彼の記憶をまた少し巡らせ、その場を後にした。

バス停で、私は彼女に声をかけた。

「あのね、実は、優介と会ってるんだ」

「えっ、あの夏休み前、すれ違った時から?」

彩絵は目を丸くして驚いている。

私はうん、と返した。

「こっち帰ってきてたんだったら、連絡くらいしてくれれば良かったのにね。

私も会いに行きたいなぁ。普通に遊んだりしてるんでしょ」

「うん、でも…」

ん?と彼女が私の顔を覗く。

「記憶喪失みたいなんだよね」

彼女のまた驚いた声が、ここら一帯に響く。

「…本当の話?」

「信じられないんだけどねー。今は優介に記憶を戻してもらうために

昔遊びに行ったところとか色々回ってるんだ」

「そうだったんだ…。じゃあ今会いに行っても、私のこともわかんないんだ」

彩絵は寂しい表情を見せた。