『初日おつかれ、どうだった?』

「覚えるのに必死で、時間経つの秒だったよ」

『カフェのバイトとか大変そうだもんね』

「うん、けど、店長も先輩もすごいいい人だから、慣れるまで頑張りたいって感じだな」

『えー、私も早く行ってみたいな』

「いいよ、恥ずかしいし来なくて」

ふと空を見上げると、大三角形が綺麗に並んで見えた。

ベガが一際光りを放ち、この空の先陣を切っている。

8月に入って、1週間が経つのがあっという間だ。

「瑠夏、8月の中旬、2日間空けといてほしい」

『え、どうして?』

「旅行に行こう」

『旅行?!行きたい!』

電話越しにガタッ、と音と共にいてっ、という声が聞こえてくる。

「瑠夏?大丈夫か…」

『足ぶつけた…』

思わず口元が緩む。


目標が出来た。

彼女に、灯篭を見せる。