その後。

 グレゴリーの言葉通り、アナスタシアは王位継承権を剥奪され田舎領地に療養という名の永久幽閉されることが決まった。その従者となったのは他でもない騎士のマキシム。両陛下は本当にアナスタシアを愛しているらしく、彼女が最後に欲しがったものはきちんと与えてあげたらしい。彼女たちは王都から遠く離れたさみしい土地でお互いだけを頼りに生きていくことになるのだろう。





 そしてシエナは無事にグレゴリーの婚約者となり、妻となった。

 グレゴリーは本気でシエナをすぐに迎えに来るつもりだったらしく、婚約から結婚まではあっという間の出来事だった。シエナ好みに整えられた新居に案内されたときは、さすがのシエナも口の端が引きつったが、自分の横でにこにこと笑うグレゴリーには勝てなかった。





 国王陛下がアナスタシアとグレゴリーとの婚約を破棄させたのは、グレゴリーが優秀な人間だったので田舎に追いやるのが惜しまれたからという理由もあったらしい。

 アナスタシアの強引な婚約破棄で名誉を傷つけた償いだと、グレゴリーはかなり重要な役職を与えられた。将来的には国の重鎮となるのだろう。

 本人は「余計な仕事が増えた」とめんどくさがっているが、やりがいは感じているらしく日々忙しそうに職務をこなしている。