…かと思いきや。


「やっ……、紫杏くん?」



人通りの少ない裏路地に入っていって、紫杏くんの唇が首筋辺りに触れた。

くすぐったくて身をよじらせてると。



「…っん……ひゃぁ、」



甘く、噛まれる。



「…痕、消えちゃってたからね」

「……っ」

「コレ、定期的につけないとダメだね」




色っぽさを含んだその目に、体温が急上昇。

余裕そうな紫杏と、いっぱいいっぱいな私。

私も余裕を持てたらいいのに…なんて。
経験の差を思い知らされる。



「…今日、花澄ちゃんの家行ってもいい?」



甘く、掠れた声。

熱を含んだその瞳に囚われたら、いいと言うしかない。



「…いいよ」



私が紫杏くんに弱いのか、惚れたら負けという言葉通りなのか。

その瞳にみつめられたら、彼の思うままになってしまう気がする。