「それじゃあ花澄ちゃん、帰ろうか」
いつのまにか近くにいた紫杏くんの手に、引かれるがままここを出て行く。
いつもより歩くペースが早くて、小走りで着いていく。
…足が長いと一歩が大きくていいなぁ。
紫杏君をみると、つくづくそう思う…。
なんとか後ろについていると、不意にこちらを向く紫杏くん。
「嫌だったらごめん。我慢してね」
「わっ……!」
不敵に笑ったと思ったら、ふわりと軽くなる体。
…理解するのに数秒はかかるこの体勢。
二度目のお姫様抱っこされてる…⁉︎
嫌なんかじゃなくて、前よりもすごくドキドキしてしまう。
絶対、顔がゆで卵みたいに赤いだろうし、沸騰しちゃいそう…。
「顔、すっごく真っ赤だけど…。家着くまで我慢できそう?」
「……っ‼︎」
前みたいに、上着なんてないし、顔を隠せるものだって一つもない。
…うぅ、そしたらもう…。
「…え、花澄ちゃん?」