心配なんて全くしてないとでも言うような康二さんの瞳。
それどころか、安心しきっている様子で。
「康二さんは、紫杏くんとどんな関わりがあるんですか…?」
紫杏くんが敬語を使う相手というのは、珍しい…気がする。
上の立場にあたる人なのだろうか。
「…関わり、か。そうだねぇ。紫杏のことは特に昔から知っているよ」
「とくに昔、から…?」
「そうさ。紫杏は家族と色々あってね。紫杏をたまたま引き取ったのが、俺だった。…それだけさ」
「家族と色々…」
「そう。詳しいことは言えないがね」
つまり、引き取ったってことは紫杏くんにとって康二さんは、親のような存在だったてこと…?
それに、家族と色々あったってどんなことがあったんだろう。
…すごく複雑だったのかな?
きっとそれは紫杏くんの心の内にあるもので踏み入れてはいけない、プライバシー的なもので。
でも、それでも知りたいなって思ってしまう。
家族の話を振るとあらかさまに線を引いてたのは、色々あったからなのかな…。