「倉沢さん、と言ったかな」
「あっはい…、倉沢花澄と申します…!」
オーナーの康二さんに声をかけられて、思わず声が裏返ってしまう。
「今何が起きてるかわからなくて、怖いのかい?」
「え…?」
「不安だって顔に書いてあるし、それは当然の反応だ」
思わずペタッと顔を触る。
そんなに顔に出ちゃってたのかな…?
「紫杏くんたちは、大丈夫なんですか…?」
一番不安の要因となることを聞く。
店内だけでもわかる、異様な雰囲気。
そんな中、外に出てしまって大丈夫なのかな。
「紫杏たちは絶対大丈夫さ。心配しなくてもいい」
「で、でも…」
心配なものは心配。
不安が渦巻く。
「紫杏は強い子だからな。紫杏だけじゃない、和也も大雅も」
「強い、ですか…?」
「そうだ。だから不安になる必要はない」