「はい、ショートケーキとオレンジジュース」
「ありがとうございます」
スッと目の前に出されたショートケーキ。
見た目と匂いからして、絶対美味しいやつだと確信する。
一口食べると、予想以上に美味しくて感動を覚える。
ふんわりしているスポンジの心地よい感触と甘いクリームの後に押し寄せる、甘酸っぱいイチゴの味。
しあわせ……。
もぐもぐと食べていると、横から視線を感じて恐る恐る視線を移す。
「ケーキ、美味しい?」
…頬杖をつきながら温かい目で私を見ている紫杏くんに、コクリと頷く。
なんだろう、このジワジワくる恥ずかしさは。
とても…食べにくい。
「俺にも一口ちょうだい」
口を開けて待つ紫杏くん。
んん…、色気に耐えられない…!
「…おい、俺たちいるの忘れてねぇか?」
…デジャヴだ。
忘れてるわけではなくて、頭が紫杏くんのせいでパンク寸前だったといいますか…。
なんてもちろん、言い訳にもならない。