「康二さん、こんにちは……って、紫杏君、ここにいたんだ」
入ってきたのは、東郷さんと大雅くん、黒瀬くんだった。
ごく当然のように、紫杏くんの隣の席に続くように座る三人。
「紫杏がここにいるのって珍しいな。花澄もいるし」
「……っ‼︎」
サラッと私の名前を言う大雅君。
苗字呼びじゃなくて、名前派なんだ…。
「花澄じゃなくて、倉沢さん、ね」
「はぁ?苗字呼びでさん付けとかめんどくせぇ、名前でいいだろ」
不機嫌オーラを出す紫杏くんと、怪訝そうに告げる大雅くん。
私は名前呼びでも苗字呼びでもいいんだけどなぁ…。
「紫杏が突っかかるとか珍し。明日台風でもくるんじゃね」
「そうかもしれませんねぇ…」
黒瀬くんと東郷さんか、面白そうに何か呟いている。
なんだろう…居た堪れないというか。
…まだ口論が続いている紫杏くんたちを横目に、ケーキがくるのをただただ待つ。