楽しいのに、胸のざわつきが取れない。

目を瞑ると出てくる、一人の…好きな人。


必死に振り払っても、消えてくれない。



「…合流の時間まで後少しだね」



あっという間の3時間。

近くにあった時計を見上げて、柚朱くんが言う。

後、15分後くらいで合流の時間帯だ。




「この時間帯じゃ、アトラクションも乗れないね…」

「…そうだね」




微妙な時間帯にそう告げれば、どこか困ったように笑う柚朱くん。

何か迷っているようだった。




「今日は楽しかった?」



柚朱くんが聞く。

切ない色を込めて。



「楽しかったよ。柚朱くんは?」

「俺も、楽しかったよ。すごく…」



空を見上げる柚朱くん。

釣られて私も見上げると、群青色の空が夕焼けと混じっていた。