そんなこんなで始まった打ち上げという名の遊び。

日曜日ということもあり園内は混んでいるけれど、賑やかな雰囲気が煩悩を紛らわしてくれる。

ダブルデートといえど、入ってすぐ別行動になって柚朱くんと2人の状態だ。

合流するのは帰る直前の、今から3時間があたり。



「花澄、何か乗りたいものある?」

「ん〜……」




乗りたいもの、か…。

絶叫系は完全にアウトなので、結構縛られてしまう。



「コーヒーカップ、とかかな…」

「コーヒーカップ…」

「あ、ごめん。絶叫系のほうが良かった…?」

「いや、全然。ただ、コーヒーカップってイメージ通りだなって」



小さく笑う柚朱くん。

良かった…、嫌なわけじゃなさそう。



「それじゃあ、行こっか」

「うん!」





…それは、すごく平和だった。

談笑しながらコーヒーカップに乗って、乗り終わったら雑談に花を咲かせて、また違うアトラクションに乗る。

すっごく幸せ。

…なのに、何か足りない。

一番大切な、一番大きな何かが欠けている。