それだけ言った後、和葉ちゃんが私に近づいて小声で呟く。
「失恋には新しい恋。…恋にならなくても楽しめばいいし、満喫しちゃえ」
「……!」
優しく微笑んだ後、彼氏さんのもとへ向かい、先を歩いていく。
初めから、和葉ちゃんの狙いはコレだったんだ。
まだ落ち込んでいる私に気づいて、気分転換にと計画してくれたんだ。
…きっと、ダブルデートというのは和葉ちゃんの嗜好なんだけれど。
でも、ものすごく感謝の気持ちでいっぱい。
「あっ!後、お金の心配はないよ。…無料チケット券があるからね」
無料チケット券を1枚、それぞれ私と柚朱くんに渡してくれる。
無料チケット券って、和葉ちゃんすごい…。
「こないだ抽選会行ったら当たったんだ」
得意げに笑う和葉ちゃん。
強運の持ち主だ。