紫杏くんに教えてもらった通りに解いていくと、わからなかったのが嘘のようにスラスラ式ができていく。
…確か、ここにこれを代入して解けば、答えが出るはず。
なんだけど、出てきた答えはなんとも微妙な数字。
「ここ、ちょっと違うよ。これじゃなくて、こっちを代入しないと」
紫杏くんのアドバイス通りにすると、今度はちゃんとした答えが出た。
「すごい…、この問題初めて解けた。紫杏くんありがとう…‼︎」
「どういたしまして」
興奮して、勢いよくバッと後ろを振り返った私が、悪かった。
「わっ……」
「……」
問題集を覗き込んでくれてた紫杏くんと、鼻先が、衝突する。
咄嗟に紫杏くんが私の唇を押さえてくれていたから大丈夫だったけれど…。
「紫杏くん、ごめんなさい…」
顔を前に向けてそう言えば、小さなため息が耳に入る。
「ホントに。うっかり俺がファーストキス奪っちゃったら、どうするの」
「……っ」