そう、そのストーカーから助けてくれたのは、紛れもなく悠月さんだったんだ。
 悠月さんは当時はまだ、和菓子職人見習いって感じだったのかもしれないけど、悠月さんはあの時、そんな私を助けてくれたんだ。

「助けてくれた人?」

「はい。……その人が、和菓子職人だったんです」

 そう。悠月さん、あなたが助けてくれたんだよ、私を。
 悠月さんは覚えてないかもしれないけど、私は鮮明に覚えている。 忘れることなんて、これからも絶対にないから。

「そうなのか」

「助けてくれた人が和菓子職人だと知って、私その人が働くお店の和菓子を、勇気をだして食べてみたんです」

 というのも、悠月さんがこの店の和菓子職人さんと聞いて、少しでもお近付きになれたらと思って……なんて不順な理由は言えるわけもないのだけど。
 だけど悠月さんが和菓子職人さんと聞いて、悠月さんに会いたくて行った、と言うのもある。……こんなこと、悠月さんには恥ずかしいから内緒だけど。

「どうだった?食べた感想は?」

「……美味しかったです。すごく、美味しかったです」

 あの悠月さんが作った和菓子を一口食べた瞬間に、感動したんだ。