私が誰かにつかまって、浅羽くんは私の所へすぐ来てくれた。



「Signalの総長さんも、好きな女のことになると何も考えられなくなるのかな?」



周りにいる男の人達が大勢で笑っている。



「一人で来て、俺達に勝てると思ってるの?」



私の周りにいる男の人達はざっと数えて十人以上もいる。


そして、手には鉄パイプなどの武器を持っているのにもかかわらず、浅羽くんは一人。


しかも、何の武器も持っていない。



「お前達くらい、俺一人で充分だ」



浅羽くんの声が響く。


自信に満ちた声。


そして、



「なな、今助けに行くから」



私を真っ直ぐ見つめる瞳。



「お前ら、いけー!」



そんな合図とともに、周りに居た男の人達が一斉に駆け出し、浅羽くんに襲いかかる。


浅羽くんなら、大丈夫、大丈夫………。


自分に言い聞かせながら祈る私。


でも、最悪な状況を想像して大粒の涙が頬へ流れる。


お願い、浅羽くん、無事でいて!


目をギュッとつぶる。



「なな、大丈夫か?!」



ギュッとつぶった直後、浅羽くんが私の元へ来てくれ足と腕の縄を解いてくれる。



「……あ、浅羽くん」



浅羽くんにギュッと抱き着く。



「こんな、怖い思いさせてごめん」



浅羽くんが頭を撫でてくれる。



「なな。俺達、もう会うのやめよう」