「七菜、おっはよー!」


「ひゃっ!」



後から急に抱きついてきたのは友達の“吉良”。



「びっくりした?」


「もう、いつもやめてよー。びっくりするから」



吉良は毎日、私をあらゆる手段で驚かせてくる、いたずら好きな女の子。


予想外な驚かし方をしてくるから、ちょっとだけ困ってる。


まぁ、楽しみでもあるんだけど……。



「いいじゃん、楽しいんだから!」


「それはそうだけど……」



そんなことを吉良と言い合っていると、目の前にはじめ君が現れた。



「今日もあそこで話す?」


「うん、すぐ行くね」


「待ってる」



はじめ君といつものように、校舎裏で会おうと約束した。


はじめ君は何故か分からないけど、私の好きな食べ物とか知ってるんだよね。




「あれ、誰?」


「あの人は、同じ学年のはじめ君だよ」



吉良ははじめ君を知らないそうだった。


私もはじめは知らなかったもんね……。



「ふ〜ん、いい感じじゃん」



吉良がニヤニヤしながら私の肩をツンツンしてくる。



「そんなんじゃないよ」


「うっそだ〜!」


「ホントだから!!」



はじめ君は優しくていい人だと思うけど、私が好きなのは……



「そんなに否定して、もしかして好きな人でも出来た?」


「ま、まぁ……」



浅羽くんだから。