でも、そんなことはしない。

りっくんは、『彼女がいる』というイメージダウンのことよりも、わたしが彼女として騒がれることのほうを心配してくれていた。


周りから注目されることが苦手な、控えめなわたしのために。


「でも、たまに…不安になるときがある。しずくにとって、俺はいい彼氏でいれてるのかなって。ヒミツの付き合いだからこそ…余計に」


りっくん…顔には出さないけど、実はそんなことを…。


「だから、これをしずくに渡したかったんだ」


そう言われて、手を差し出すように促される。


不思議に思いながら、りっくんに手のひらを見せるように前に出すと、その上になにかを置かれた。


ひんやりと冷たくて、小さくて丸い…なにか。


見ると、それはピンクゴールドに輝く指輪だった。


「これって…」