それは、紛れもなくわたしのことだ…!


わたしは、顔を見られないようにとカンカン帽を深く被る。


モデルの律希に彼女がいるなんて知られたら、…大変だっ。

詳しくは知らないけど、りっくんが所属する事務所とかに迷惑かけちゃうんじゃないのかな。


そんなことが頭によぎる。


…りっくんと距離を取ったほうがいいのかな。


そう思って、ゆっくりと離れようとした…その瞬間。


「しずくは、この黒のベルトと白のベルト、どっちがいいと思う?」


なんとりっくんが、女の子たちの目の前でわたしを抱き寄せてきた…!


「まっ…待って、りっくん!今、後ろで見られてるから…!」

「ねぇ、どっち?」


わたしの話なんてそっちのけで、ベルトに視線を移すりっくん。


こんなふうに抱き寄せられたら、ただの通りすがりという言い訳なんて通じないよっ…。